アーキテクチュア・オブ・ザ・イヤー1996「カメラオブスキュラあるいは革命の建築博物館」 / exhibition design / 日本建築学会
この展覧会では、プロデューサーとして磯崎新氏が「建築と政治の関わり」をテーマに掲げ、4名の若手キュレーターがそれぞれの展示内容を担当し、韓は会場構成のコンセプトとデザインを担当した。来場者が建築史上の異世界を横断し、内・外界を縦断できる装置として、会場自体が意図され、計画された。展示作品には建築史上で世界史的意味を持つものでありながら、今まで無視されてきたものが採りあげられている。それらは以下のような4部構成になっている。

1. 田中純氏   幻視の器械ーフランス革命と建築
2. 中谷礼二氏  世界・建築・地図ーもうひとつの明治計画
3. 松原弘典氏  究極の建築ー社会主義国家のファンタズム
4. 貝島桃代氏  都市量産業ーメイド・イン・トーキョー
会場は大・中・小の箱から成る入れ子構造である。外箱は各四辺に沿って、4つの展示が割り当てられた社会的歴史的展示空間で、来場者はそこを周遊、又は縦断、横断しながら、自分なりに建築史を眺められる。続いて、中箱は革命建築に関わる言説や建築家・磯崎氏と4名のキュレーターとの対話が、文字の大きさや方向を異にしながら、壁と床一面に渦のようにシームレスに展開される言説の空間。そして奥箱は、磯崎氏の蔵書で四方をぎっしり囲まれた四畳半のガラスの茶室である。部屋の中央に炉の代わりに組み込まれたモニターには、上から見下ろした会場全体の俯瞰がリアルタイムで映し出されている。