from 1995 to 2000
東名高速道路(拡幅)/ ハイウェイ・パーク / landscape design / 日本道路公団
高速道路は近代文明の遺したランドスケープだ。現代に生きる我々に予め与えられたもう一つの自然条件である。しかし周辺の住民にとっての実状は、その長々横たわる壁は、地域を分断する排他的な障壁に他ならなかった。
暗く殺伐とした高速道路のネガティヴ空間を、人々に明るい表情で向き合うポシティヴ空間に。まさに、裏を表に転換することがデザインの意図である。
ただのコンクリートの抜け穴だった「カルバートボックス」に個性ある顔と名前を付けて色彩にも配慮し、周囲と快活にコミュニケーションするゲートのデザインにしている。高速道路の脇腹を貫くボックスゲートは、人々を迎え入れる門として高速道路を挟む分断された地域をスムーズにつなぐ役割を果たしている。さらに、隣り合うゲートをつなぎ本線に沿って伸びるハイウェイパークには、散歩する足を休める木陰のベンチや待ち合わせの小さな広場、目印の樹などがあって、周りに住むすべての人々を歓迎している。こうして、日の当たらない舞台裏は、陽光豊かな生活の表舞台に生まれ変わった。