新日本坂トンネル / sequence design / 日本道路公団
自然や街のランドスケープ、空や大気の変化を感じることができない100%の人工空間であるトンネル内空間。そのなかを高速で走行するドライバーに対する圧迫感や閉塞感を和らげるため、単調で無表情なその空間にシークエンス(継起的連続性)を意識して展開する「起・承・転・結」のストーリーを重ね合わせる。2.5kmのトンネルの全長を時速100kmで走り抜けるのに90秒。その90秒の時間を一編の交響曲/シンフォニーを聴くような快い走行体験ができるようデザインした。



流れゆく形にリズムを体感し、色彩のハーモニーを聴くメロディー、ハーモニー、曲調、リズムの変化を内壁上のライン群で表現する。追い越し車線(右側壁)では軽快なフルート、オーボエ、ホルン等の管楽器(のイメージで)がメロディーラインを奏で、リードする。それを受け、走行車線(管理用通路側壁)にはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ等の弦楽器のパートが幾重ものハーモニーで応える。
左右で響き合うオーケストラを聴く/観る構成で、それらの音色は色彩で音程は高低で音の強さは太さで視覚的に表現されている。それらは全て水平(進行)方向の変化、テンポ・リズムの上に統合される。走り進むにつれ、一編の音楽に車ごと包まれる体験となる。