虎の穴 / restaurant design / 個人施主
美味しいので有名な焼き肉屋さんの4軒目の店舗の設計・デザインである。
既存の3店舗はテナント或いは居抜きの改装であるのに対して、本物件は一戸建ての路面店でこの店の新しい顔になる。敷地は最近若者のファッションブティックが点在する目黒川近くの建て込んだ準工業地区にある。客席数に対して建築面積の余裕が無いこともあり、レストラン部分は閉じた空間ではなく、前後の街路と連続するような全開可能なオープンな空間を設定した。往来と同レベルで手前から前庭、室内、裏庭と奥行きの浅い風通しの良い空間が重層し、増幅してみえる。床は韓国煉瓦(ホフマン窯で焼いた窯変の強くかかったデッドストック)を敷き詰めた。
レストラン部の屋根は出来る限り薄く軽く、RCの大小2つの箱(手前左がトイレ・機械室で奥右手は厨房・事務所)から伸びたオブジェの様なH鋼の梁とごく細い角パイプの柱で支えられている。店内の照明は天井全体が面として白く浮かび上がるような効果で前面のサッシを通して店自体の賑わいのシーンが往来にアピールするよう考えられた。奥のRCの箱/大は表面が逆三角の凹凸のある仕上げで、昼間はそのマッシヴな量感が陰影によって希薄となり、夜間ライトアップされることで闇に浮かぶスクリーンのような効果でランドマークとなる。また、手前のRCの箱/小の表面は街路の一部としてアーティストの自由なキャンバスとなるよう平坦な素地のまま用意された。
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