踊場誇道橋 / pedestrian bridge design / 日本道路公団
九州の大分-宮崎-鹿児島を結ぶ東九州自動車道の鹿児島県財部町に計画された、高速道路上部に架かる跨道橋のデザインである。
これまでの跨道橋は、 コンクリート製の壁高欄で大きなヴォリュームが高速道路本線を走るドライバーの視線を遮り、頭上に多くかぶさるような印象があった。今回のデザインでは、壁高欄を支柱と横ビームからなるメタル製高欄に置き換えるのみでなく、跨道橋本体についても本線を走行中に圧迫感の少ない、軽快な印象を与える一体的なデザインが要求された。

跨道橋は、本線の橋梁や一般道路の橋梁などとは異なり、高速で本線を走行中にいくつかの橋梁側面が連続して見えてくるものであり、静止してみるためのデザインとは異なる、動いている視点から見ることを前提としている。つまり、高速で通り過ぎる際には、詳細なテクスチャーや部分のかたち、接合部などの細かいデザインではなく、橋梁本体のもつシルエットや、進行方向及び横方向の奥行きなどを感じるデザインを考える必要がある。
ここでは、全体のシルエット、プロポーション、素材の違い、面とヴォリュームの違い、陰の付き方の違い、奥行き方向の長さ・厚さなどを具体的なデザイン要素として考えながら、高速で通過しながら連続して見えてくる橋梁として、いくつかの案を提案している。
採用された案は、上記アクソメのような床板の左右断面を変形させて、線的にアシンメトリーのデザインとし、奥行き感を作るタイプである。この案は、高速で通過する動く視点を強く意識し、遠くで見た場合、ある程度近づいたとき、くぐり抜ける瞬間など、連続して移動する視点に伴い展開する形態の変化や奥行きの変化を意識的に操作してデザインしたものであり、高速道路における走行空間に適するデザインといえる。
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